【 漫画家:鹿子|Shikako 】ツールを切り替える機会が圧倒的に多い漫画のトーン作業でも大活躍!手元を一切見ずに操作できるのが最高の強みだと思います。
1988年 岩手県生まれ
2011年 武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒業。原泰久先生の元で5年間アシスタントを務める
2017年 週刊ヤングジャンプで「フルドラム」連載
2020年 鹿子名義にてコミックデイズで門馬司先生原作「満州アヘンスクワッド」作画として連載スタート
2021年 同作品、ヤングマガジンへ移籍し連載中
Twitter:鹿子
幼い頃から絵を描くのは好きでしたが、明確に絵で食べていきたいと思ったのは14歳の頃です。
大学で彫刻学科に入学したため彫刻家になるのを目標に上京したのですが、早々に挫折し、その頃仲の良かった大学の麻雀仲間の同級生に漫画の描き方を教えてもらいました。
20歳で初めて漫画を描きましたが、それまで漫画家になるというのは考えたことがありませんでした。
原泰久先生の元で5年間アシスタントを経験しました。
その後1年ほどの週刊連載を経験し、今に至ります。
初めて投稿した月例賞の審査員が原先生だったのですが、それとは全く関係なく当時の担当さんに紹介して入れてもらいました。審査員だったことは入って1年後くらいに話したら驚いていました(笑)
線のタッチや書き込み方、絵作りに関してはもちろんですが、作品に対する姿勢は今でも常に目標にしています。
0から1を生み出す行為は途方もなくエネルギーの要る作業で、商業誌においての自分のストーリーを作る力には以前から限界を感じていました。
自分の場合、渡された台本の中で演出を考えたり、キャラクターを演じるということの方に喜びがあったので、今の形態は天職だと感じています。
なるべく慣れた線を引かないように気をつけています。
また、空間、空気感を感じられる画面作りを心がけています。
これは僕個人の感覚の問題なのですが、アナログ作画のいいところの一つに、常に狙った通りの線が引けないことがあります。
手持ちのカメラで映像を撮ったとき、表情、構図、空気などまったく同じ画が撮れないのと同じように、アナログの画材は自分の想像の中にないものができることが多々あります。
そんな紛れを期待しつつも、そのコマそのコマ都度丁寧に形を捉えるように描画することが、僕が絵を描く上でひとつ目標としていることなんです。
好きな音楽を聴きながら、ペン入れしている時が一番好きです。
音楽は、最近はSpotifyで垂れ流しにしているので基本的になんでも聴きますが、特に好きなのはZAZEN BOYZやgroup_inou、最近ではVAUNDYをよく聴いています。
とにかく読み辛くならないように、伝えることを第一にというのは常に意識しています。
漫画を描き始めた頃は、漫画は話作りから絵まで全て一人でできることが強みだと思っていたのですが、ある時自分の限界を感じて、今できることを精一杯やろうというスタンスにシフトしていきました。
満州アヘンスクワッドは門馬先生と担当編集さんが毎週素晴らしいネームを仕上げてくださっていて、作画の役割はドラマや映画で言うところの役者や演出だと思っています。
世に出るモノは自分のパッケージング次第で良くも悪くもなると思うのでそこにはとても責任を感じています。
どんな形であれ、これからもいろんな作品に関わって行けたらいいなと思っています。
PCは27インチのiMac、CLIP STUDIO PAINT PROにWacom Cintiq Pro 24で作業しています。
今は通いのアナログスタッフが3人と在宅デジタルのスタッフが2人いますので、自宅とは別に作業場を借りています。
Macは長年使っているので手放せません。
線画は、原稿用紙にアナログで作画したものをスキャンしています。その後、PC上でトーンと仕上げ作業をしています。
特に使い心地に関して不満はありませんが、紙に描いている方が好きなので、今のところ線画はアナログで描いています。
まず満州アヘンスクワッドの連載初期、かねてから僕は週刊連載の画面をひとりで作り上げてみたいという願望があったため、アシスタントを使わず背景から人物、仕上げまでを一人でこなしていました。
門馬先生が安定してネーム原作を上げてくれるとはいえ週刊連載一人での作画作業は思っていた以上にハードでした。
特にデジタルでのトーン貼りは今連載している作品が初めてだったので尚更、最初の頃は四苦八苦したのを覚えています。
初めのうちはそれこそ板タブのファンクションキーとキーボードで奮闘していましたが、回を重ねるにつれて左手デバイスの必要性を大きく感じました。
「初めて使用した時」
僕の場合それまで左手デバイスの経験がなかったこともあり、操作に慣れるのにそこまでの時間はかかりませんでした。
「使い込んだ時」
単純なツールの切り替えに使うことが多いのでOrbital2のポテンシャルを発揮しきれているのかは自信がないですが、左手の置き位置自体は一定でスティックを倒す方向でツールを切り替えられるのでキーやボタンを押すよりも明らかに楽で早いです。
少し極端に聞こえると思いますが、導入前は1話分18ページのトーン仕上げに2日かかっていたところを、使いこなせるようになってからは1人丸1日で仕上げられるようになりました。
ちなみにアナログ時代は1日4−5ページが限界でした。
初めの頃は板タブでしたが、現在は液タブを使用しています。
どちらにせよ、Orbital2が非常に省スペースなので、置き場所には困りません。
タブレットの左にOrbital2、その上部にキーボードを置いて作業しています。
漫画のトーン作業はひとつのツールを長く使うというよりツールを切り替える機会が圧倒的に多いです。
ゴミを取り、線を消し、書き足し、トーンを貼り、削り、、、の繰り返しが毎コマある訳です。
スティック操作によるツール切り替えの速さ、スティックを倒した際画面にきちんと表示がでるのがとても分かりやすいです。またスティック操作にはゲームセンターの格闘ゲームをやっているような爽快感があり、操作するのが楽しいです。
手元を一切見ずに操作できるのが最高の強みだと思います。
Orbital2は左右対称ですが、指の稼働方向には倒しやすい方向とそうではない方向があるので、左手で操作する僕の場合、もっとも使う頻度の高いペン二種・ブラシ二種を倒しやすいスティック右と斜め右上に登録しています。
ほかにはそこまで変更になって速度を必要としないツールや逆に間違って切り替えたくない操作は押しにくい場所に登録しています。
Orbital Engineモードにメインのツール切り替えや拡大縮小等を割り当てていて、フラットリングには確実に操作したいundoや描画色の切り替えを割り当てています。
プログラムマクロ機能は便利そうだなと思いながらもまだ手を出せずにいるので、そのうち使いこなせるようになりたいなと思っています。ミニマルな佇まい、有線である理由など使い込むにつれよく考えられているなあと感心します。
慣れると本当に直感で操作できる素晴らしいガジェットです。
▼ 鹿子さんのオリジナルプロファイル
「CLIP STUDIO PAINT」にて、お使いいただけるプロファイルをご提供していただきました!
Macをお使いの方は
こちら
※クリエイターの方からいただいたプロファイルのみを配布しているため、OSやキーボード配列によってはプロファイル配布がないものもあります。
ご了承ください。