【 イラストレーター : 左 】気持ちいい操作とモチベーションをあげるインターフェース
フリーのイラストレーター。「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」など小説のイラストや、TVアニメ「荒野のコトブキ飛行隊」「フラクタル」「夏色キセキ」「Room Mate~One Room side M」などのキャラクター原案、PS3ほか『アーシャのアトリエ』から始まる黄昏シリーズ3作品や『ファイアーエムブレム Echoes』といった、多岐にわたるキャラクターデザインを手がける。
また、今春にイラストレーターとして20周年を迎えるにあたり、初の画集が発売される。
小さな頃から絵を描くのが好きでした。
でも、イラストレーターという職業が今のように確立していなかったことや、ゲーム会社でも社員の方が描いているみたいな形があって職業としてはそれほど意識をしていませんでした。
僕は漫画家になりたくて絵を描いていたので、あまりカラーはやっていませんでした。
2000年あたりからCGで着色するようになり、ホームページを作って同人活動をはじめたタイミングで幸いに声をかけていただき、雑誌のピンナップや紙の媒体のトレーディングカードゲーム、小説の挿絵の仕事をするようになりました。
出版社などの会社の中の人が絵を描いているのが当たり前の時代から、
CGで絵を描いてホームページを作る事でフリーの絵描きが出来るようなった時代で、丁度良いタイミングでした。
そこからだいたい数年ごとに、時代の流行りや、自分のニーズのような部分で仕事の傾向が出てきました。
2000年前後から2003年頃までは所謂アダルトゲームの原画やマイナー誌の仕事の依頼がうわっと来て、2005年から2007〜2008年あたりまではMMOの依頼がすごく多く、それ以降は、結果的にぽしゃって一本も発売していないですがニンテンドーDSの仕事がちょっと来て、そのあとは今と変わらずアニメとコンシューマーゲームの仕事を受けてきて、今に至ります。
なのでざっくりと経歴的には、小説の挿絵、ゲームのキャラクターデザイン、アニメのキャラクターデザインをこれまでやってきたという感じでしょうか。
『INTER MISSION』Taiwan Version
クリエイトしている瞬間の楽しみと世間に出た時の刺激でいくと、後者の発表時の刺激の方が強いですが、やはり根底にあるのは絵を描いている創作時のじわりという心地よさでしょうか。
中でも自分は下書きの時が好きです。ラフでどんな事を書くか考えた後の、整理している時間というかクリンナップや塗りの前の段階ですね。
塗りが楽しいだったり、考えている間やデザインの上流部分が楽しいという話もよくありますが、僕は下書きが1番好きです。
その段階の時は今までの中で一番の傑作ができるかもしれない瞬間を感じます。かっこよく、かわいく、そして壮大な感じで描こう、とかの一歩目だったりするので。色塗りの瞬間はもうここからもう大きく外れることはないですね。
締め切りとかもあったり…少しでもよくしようとはしますが。無限の可能性を秘めているのは、真っ白い紙に「さて描くぞ」という、骨組みができている瞬間です。
真っ白の紙の中で進まないのは楽しんですけど、デザインは純粋な生みの苦しみというか、焦りやストレスがあります。
なので「よし良いものを作るぞ」と考えてコツコツつみあげていく、下書きの段階が個人的には好きですね。
作品を仕上げる上でどのような点を気にされながら描かれているのでしょうか?
トータル的には抽象的になりますが、キャラクターの心地よさや艶みたいなものがイラストとしてのキャラクターの魅力になると思っていて、結果的に服の皺というのも説得力が艶に伝わっていったり、自負している部分としては、キャラクターの手の表情を大切にしています。
物を持つ、ペンを持つ、ペットボトルを持つ、カップを持つなど、物の持ち方で男性のキャラクターや、女性のキャラクターそれぞれが持つ力強さや色っぽさがだせる部分だと思っています。
指のちょっとした角度や力の入れ具合が、リアルさを追求しつつも2Dの良さが残っている感じを表現できて、結果的にそれがキャラクターの魅力に繋がっていると思います。
同人誌を出して、それが編集者の方の目に止まって名刺をスペースに置いていってくれたのが最初です。
きっかけとしてはこれなのですが、大きな革命としては世界に発信できるホームページを作って公開していたのと、誰からでも連絡ができるメールアドレスをそこに書いていたこと。
小さなころから絵で食べていきたいとは思っていました。
ドラゴンボール・ドラクエ・FFの世代だったので、漫画家になりたいと思って、ドラえもんや鳥山明先生の絵の模写をしたりしていました。そういう意味ではいわゆる"漫画絵"というものは小さな頃から描いていましたね。
自分自身が漫画家になりたくて、漫画家といえばやっぱり「モノクロの原稿」。
なのでそこに憧れて、ペンを使ってモノクロのアナログ絵をずっと描いていましたね。
その後CLAMPさんがコピックを使いはじめて、マーカーで色を塗るのが流行ってきて。
コピックで塗ってみたりもしましたが、当時学生にとってはコピックはなかなか高くて色数も限られてたりで、自由にカラーを描くことはほとんどなかったです。
学校の中でも美術が好きで、高校は美術の高校に行っていました。
その時の経験なんかもあって、基礎はあったのかもしれません。
独学だったり、CGの描き方の講座を見たりしていました。
当時はチャットが流行っていて、イラストを描いている作者と直接チャットで交流が図れたりなんかもしたんですが、そういったところで実際のCGの作品を見たり、ネット上のCGの紹介コーナーや描き方講座を見てましたね。
最初、自分の中でCGは「メタルチック」で「テカテカ」みたいなイメージしかなかったのですが、友達の家にあった作品の表紙がCGで描かれていて、それが初めて見た時パステルかと思ったくらい今までの自分の中のCGのイメージと違うものだったんです。
こんなにマットで柔らかい感じがCGでも描けるのかととても驚いた記憶があります。
OSはWindows、タブレットはCintiq Pro 24、ソフトはCLIP STUDIO、Photoshopがメインになります。
たまにPaintstormという油彩とかタッチが独特なソフトも使ってます。
6~7年前はSAIを使ってました。
筆の感じはSAIがよかったんですが、選択範囲とか色変えはPhotoshopでやっていました。でもこれは行き来が面倒でしたね。 これの”合いの子”はないかと探していたときに、CLIP STUDIOが丁度いいと分かり、乗り換えました。
気持ちいいですね。
倒す感覚、回す感覚、まず一番に感じました。
今までのボタン式とはやっぱり違うので慣れは必要ですが、気持ちがいいのでなれるまでやろうと思えます。
あとは個人的には「かっこいい」というのが重要で、仕事で長時間触るものなので少しでも楽しかったり、かっこいいとか、気持ちを持ち上げるものが重要だと思ってます。
今はWacom Cintiq Pro 24を使っているんですが、フィルムを貼っているので黒くてピカピカしてるんです。
そこにOrbital2を置いて光らせると、遠くから見るとすごくスタイリッシュに見えます。これが個人的にかなり重要ですw
以前は左利きなのでまず左右対称であることが重要で、海外製のShuttlePRO v2という映像用に作られたデバイスを使っていました。ただ自分が使っていたタブレットにはサイズ感が合わなかったので、Orbital2がぴったりハマってよかったです。
※Cintiq Pro 24は横にマグネットが入っており、Orbital2にも実は磁石が側面に付いているため、ぴたっと吸着します。
イラストを描く際に実際に割り当てていたショートカットキーを教えて下さい。
・ペンの太さを変える
・拡大縮小
・キャンバス回転
・undo/redo
を割り当てていました。
CLIP STUDIOをよく使っていて、ダイヤルにまず置き換えられるものからショートカットキーの登録を考えました。
意外とダイヤルに移行できるものが沢山あることに気付きましたね。
ほかにも、今までボタンで操作していたものもOrbital2に移行しましたが、移行自体は全然苦ではなかったです。
液晶タブレットだと基本的にキーボードを使っている方がほとんどだと思うのですが、キーボードがタブレットの画面に被ってしまわないように配慮したりすると、置ける場所が限られきてしまうんですよね。
限られた場所に置いた状態でのキーボードショートカット入力は、長時間やっていると肩こりだったり、姿勢そのものに響いてくるかと思います。
そんなとき、コンパクトにまとまった左手デバイスは非常に力を発揮するんじゃないかなと思います。
あとは自分がキーボードを使っていたときは目配せをしながら使っていたのですが、左手デバイスは慣れれば目配せがいらないんですね。
姿勢とこの目配せが不要という2点ですでに十分、作業の気持ちよさだったり、効率化がはかれると思います。
人によっては初めは慣れなくてストレスを感じたり、余計に時間がかかってしまうこともあるかもですが、慣れた先に良いものが待っていると思えば、使い続けられるんじゃないかなと思います。
左手デバイスをこれまでに使ったことが無い方も、これを機にぜひ使ってみてください。
▼ 左さんのオリジナルプロファイル
「CLIP STUDIO」にて、お使いいただけるプロファイルをご提供していただきました!
Windowsをお使いの方は
こちら
※クリエイターの方からいただいたプロファイルのみを配布しているため、OSやキーボード配列によってはプロファイル配布がないものもあります。
ご了承ください。